2026年3月10日

【第3話】退職金を“守りながら使う”方法 ― 安心とゆとりを両立させる設計術

第2話では、退職金が減っていく理由と「見える化」の重要性をお伝えしました。

では今回は、その次のステップです。

退職金は
守るべきものなのか?
それとも
使うべきものなのか?

答えは――

“守りながら使う”です。

このバランスをどう設計するかで、老後の安心度は大きく変わります。


1.すべて預金は本当に安全?

多くの方が退職後、こうされます。

「とりあえず銀行へ」

確かに預金は元本割れのリスクが低く、安心感があります。
ですが、問題は“増えない”ことです。

たとえば物価が毎年2%上昇すると、
現金の価値は実質的に目減りします。

100万円の価値は
10年後には約82万円相当になる計算です。

つまり、

守っているつもりが、静かに減っている

という状態が起きているのです。


2.3つのバケツで考える資産設計

退職後の資産は、ひとつの箱にまとめるのではなく、
役割ごとに分けると整理しやすくなります。

① 生活バケツ(すぐ使うお金)

・生活費の不足分
・2〜3年以内の支出予定

ここは預金でOK。
安心の土台です。


② 予備バケツ(いざという時のお金)

・医療
・介護
・家の修繕
・突発的支出

すぐには使わないが、
必ず必要になる可能性がある資金。


③ 成長バケツ(少し働いてもらうお金)

・10年以上使わない部分
・将来の取り崩し原資

ここを適度に運用に回すことで、
資産寿命を延ばす可能性が生まれます。


3.相談事例①「全部預金」からの転換

68歳・C様ご夫婦。

退職金と貯蓄で3,200万円。
すべて普通預金。

月7万円を取り崩していました。

計算上は20年以上持つはずでしたが、

「減る一方なのが不安」

そこで資金を3つに分けました。

・生活バケツ:600万円
・予備バケツ:800万円
・成長バケツ:1,800万円

成長バケツの一部を年2〜4%を目安に分散運用。

結果、

取り崩しをしても
“減り続ける感覚”が和らぎました。

実際に大きく増えることよりも、

「減り方が緩やかになる」ことが安心につながった

のです。


4.リスクは取るべきか?

ここでよくある質問です。

「もう高齢なのに、投資は危なくないですか?」

重要なのは、

大きく増やすことではなく、
極端に減らさない設計です。

・一括投資しない
・分散する
・短期で一喜一憂しない

そして何より、

“生活バケツ”を確保した上で行うこと。

これが守りながら使う基本です。


5.相談事例②「使う勇気が出た」

72歳・D様(単身女性)。

資産は2,400万円。
ほぼ減らさず生活。

趣味の旅行も我慢。

設計を整理した結果、

・毎年80万円使っても90歳以降も余裕あり
・一部運用で資産寿命はさらに延びる見込み

数字が見えたことで、

「安心して使っていいんですね」

と笑顔に。

老後資金は
“残すためだけのもの”ではありません。

今を豊かにするためのものでもある

のです。


6.守りと使いのバランスが人生を左右する

退職金を

・守りすぎる → 不安で使えない
・使いすぎる → 将来が不安

大切なのは、その中間です。

そしてその答えは、

・資産額
・家族構成
・健康状態
・価値観

によってすべて異なります。

正解は一つではありません。

だからこそ、

設計が必要なのです。


7.まとめ

退職金は、

守るだけでも不安
使うだけでも不安

だからこそ、

・役割を分ける
・取り崩しを見える化する
・一部を働かせる

この3つが“安心の土台”になります。

老後資金は
「減らさないこと」が目的ではなく、

「安心して使える状態」を作ること

が本当のゴールです。


家計のサポートセンターでは、お客様に寄り添って「30年後も笑顔」であることを目指します。
将来への不安を目標に変えるため、具体的な数字に落とし込むお手伝いをいたしますので、ぜひ一度お話をお聞かせください。


次回予告(第4話)

「退職後にやってはいけない資産の動かし方」

・よくある失敗例
・高齢期に避けたい投資行動
・安心を守るための注意点

より具体的な“落とし穴”を解説します。

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