【第3話】退職金を“守りながら使う”方法 ― 安心とゆとりを両立させる設計術
第2話では、退職金が減っていく理由と「見える化」の重要性をお伝えしました。
では今回は、その次のステップです。
退職金は
守るべきものなのか?
それとも
使うべきものなのか?
答えは――
“守りながら使う”です。
このバランスをどう設計するかで、老後の安心度は大きく変わります。
1.すべて預金は本当に安全?
多くの方が退職後、こうされます。
「とりあえず銀行へ」
確かに預金は元本割れのリスクが低く、安心感があります。
ですが、問題は“増えない”ことです。
たとえば物価が毎年2%上昇すると、
現金の価値は実質的に目減りします。
100万円の価値は
10年後には約82万円相当になる計算です。
つまり、
守っているつもりが、静かに減っている
という状態が起きているのです。
2.3つのバケツで考える資産設計
退職後の資産は、ひとつの箱にまとめるのではなく、
役割ごとに分けると整理しやすくなります。
① 生活バケツ(すぐ使うお金)
・生活費の不足分
・2〜3年以内の支出予定
ここは預金でOK。
安心の土台です。
② 予備バケツ(いざという時のお金)
・医療
・介護
・家の修繕
・突発的支出
すぐには使わないが、
必ず必要になる可能性がある資金。
③ 成長バケツ(少し働いてもらうお金)
・10年以上使わない部分
・将来の取り崩し原資
ここを適度に運用に回すことで、
資産寿命を延ばす可能性が生まれます。
3.相談事例①「全部預金」からの転換
68歳・C様ご夫婦。
退職金と貯蓄で3,200万円。
すべて普通預金。
月7万円を取り崩していました。
計算上は20年以上持つはずでしたが、
「減る一方なのが不安」
そこで資金を3つに分けました。
・生活バケツ:600万円
・予備バケツ:800万円
・成長バケツ:1,800万円
成長バケツの一部を年2〜4%を目安に分散運用。
結果、
取り崩しをしても
“減り続ける感覚”が和らぎました。
実際に大きく増えることよりも、
「減り方が緩やかになる」ことが安心につながった
のです。
4.リスクは取るべきか?
ここでよくある質問です。
「もう高齢なのに、投資は危なくないですか?」
重要なのは、
大きく増やすことではなく、
極端に減らさない設計です。
・一括投資しない
・分散する
・短期で一喜一憂しない
そして何より、
“生活バケツ”を確保した上で行うこと。
これが守りながら使う基本です。
5.相談事例②「使う勇気が出た」
72歳・D様(単身女性)。
資産は2,400万円。
ほぼ減らさず生活。
趣味の旅行も我慢。
設計を整理した結果、
・毎年80万円使っても90歳以降も余裕あり
・一部運用で資産寿命はさらに延びる見込み
数字が見えたことで、
「安心して使っていいんですね」
と笑顔に。
老後資金は
“残すためだけのもの”ではありません。
今を豊かにするためのものでもある
のです。
6.守りと使いのバランスが人生を左右する
退職金を
・守りすぎる → 不安で使えない
・使いすぎる → 将来が不安
大切なのは、その中間です。
そしてその答えは、
・資産額
・家族構成
・健康状態
・価値観
によってすべて異なります。
正解は一つではありません。
だからこそ、
設計が必要なのです。
7.まとめ
退職金は、
守るだけでも不安
使うだけでも不安
だからこそ、
・役割を分ける
・取り崩しを見える化する
・一部を働かせる
この3つが“安心の土台”になります。
老後資金は
「減らさないこと」が目的ではなく、
「安心して使える状態」を作ること
が本当のゴールです。
家計のサポートセンターでは、お客様に寄り添って「30年後も笑顔」であることを目指します。
将来への不安を目標に変えるため、具体的な数字に落とし込むお手伝いをいたしますので、ぜひ一度お話をお聞かせください。
次回予告(第4話)
「退職後にやってはいけない資産の動かし方」
・よくある失敗例
・高齢期に避けたい投資行動
・安心を守るための注意点
より具体的な“落とし穴”を解説します。






