【第2話】退職金はなぜ減る?老後資金の“見えない落とし穴”

第1話では、「退職金は守るだけのお金ではなく、人生を豊かにするための活動資金」という考え方をお伝えしました。
では実際に、その退職金はどのように減っていくのでしょうか。
多くの方が退職時にこう感じます。
「思ったより多かった」
「これだけあれば老後は安心だろう」
しかし数年後、
「こんなに減っているとは思わなかった」
という声も少なくありません。
今回は、退職金が減っていく“本当の理由”を具体的に解説します。
1.「毎月少しずつ」が一番怖い
老後資金が減る最大の要因は、実は大きな失敗ではありません。
それは、毎月の取り崩しです。
たとえば、
- 生活費:月28万円
- 年金収入:月20万円
差額は8万円。
「8万円くらいなら…」と感じるかもしれません。
しかし、
8万円 × 12か月 × 20年
= 1,920万円
“少し足りない”が20年続くと、約2,000万円になります。
ここに物価上昇や医療費が加われば、減少スピードはさらに早まります。
2.相談事例①「減っていく通帳が怖い」
60代後半・A様ご夫婦のケースです。
退職金は2,500万円。
住宅ローンは完済済み。
預金と退職金はすべて普通預金。
最初の数年は問題ありませんでした。
しかし、
- 車の買い替え 250万円
- 自宅外壁修繕 180万円
- お孫さんの入学祝いなど 100万円超
気づけば、退職から7年で残高は1,800万円台に。
奥様が言われた言葉が印象的でした。
「減っていく通帳を見るのが怖いんです」
生活は苦しくありません。
贅沢もしていません。
それでも“減っている”という事実が不安を生むのです。
3.見えない支出の正体
退職後に想定外となりやすい支出は、次の3つです。
① 医療・介護費
年齢が上がるほど、医療費は増加傾向にあります。
さらに介護が必要になれば、
在宅か施設かで大きく変わりますが、
月数万円〜十数万円の負担になることもあります。
「まだ元気だから大丈夫」
その“今”の感覚で20年を見積もるのは危険です。
② 住まいの維持費
持ち家の場合、
- 屋根・外壁修繕
- 水回りリフォーム
- 給湯器交換
など、10年単位でまとまった費用がかかります。
100万〜300万円は珍しくありません。
③ 子ども・孫への支援
- 結婚祝い
- 住宅資金援助
- 教育資金
「してあげたい」という気持ちは自然ですが、
計画外だと家計に大きく響きます。

4.相談事例②「守りすぎて使えない」
70歳・B様(単身)のケース。
退職金3,000万円をほぼ手付かずで預金。
生活費は年金でほぼ賄える状況。
ところがB様は、
「減るのが怖くて旅行にも行けない」
とおっしゃいました。
預金は十分にあります。
生活にも余裕があります。
それでも、“減ること自体”が恐怖になっていたのです。
ここで見直したのは、
- 毎年いくら使っても問題ないか
- 何歳までにいくら残したいか
を数字で整理することでした。
その結果、
「毎年100万円は使っても問題ない」
と分かり、旅行や趣味に前向きになられました。
5.問題の本質は「減ること」ではない
退職金は使えば減ります。
それ自体は当然のことです。
問題は、
- いくら減るのか分からない
- どこまで減って大丈夫か分からない
この“見えなさ”にあります。
不安の正体は、お金そのものではなく
数字が整理されていない状態なのです。
6.資産寿命という考え方
大切なのは、
「あといくら残っているか」ではなく
「あと何年もつか」です。
仮に、
- 今の資産:2,000万円
- 毎年取り崩し:120万円
単純計算で約16年。
しかし、
- 一部を年2〜3%で運用できれば?
- 取り崩しを段階的に調整すれば?
資産寿命は大きく変わります。
“守るだけ”ではなく、
設計するという発想が必要なのです。
7.不安を消す3ステップ
① 毎月の不足額を正確に出す
② 10年単位の大きな支出を洗い出す
③ 取り崩し+運用のバランスを決める
これを行うだけで、
漠然とした不安
↓
具体的な見通し
へ変わります。

8.まとめ
退職金は、
- 大きな失敗で減るのではなく
- 小さな積み重ねで減る
そして最大の敵は、
「減っている理由が分からないこと」
です。
守ることも大切。
しかし、使う設計も同じくらい大切です。
家計のサポートセンターでは、お客様に寄り添って「30年後も笑顔」であることを目指します。
ご自身だけで悩まれるのではなく、是非お気軽にご相談下さい。
次回予告(第3話)
「退職金を“守りながら使う”方法」
・預金だけでいいのか?
・どのくらい運用に回すべきか?
・安全性と成長性のバランスとは?
より具体的な配分の考え方を解説します。






